にほんの むかしばなし

「キジ と ニワトリ 」

文(ぶん) ・ 絵(え):片(かた)桐(ぎり)早(さ)織(おり)

1.


まえがき

ニワトリは なんて 鳴(な)くかな?
コッコー? コッカドゥドゥドゥ? コケコッコー? それとも…
どうして ニワトリは、こんな ふうに 鳴(な)くのかな?
その わけはね…

2.

むかし むかし その 昔(むかし)。まだ この 国(くに)が 生(う)まれて 間(ま)もない ころ。
まだ 大(だい)地(ち)が しっかりと 固(かた)まって いなかった ころ。
たくさんの 鳥(とり)を 飼(か)って いる 神(かみ)さまが いました。
ある 日(ひ)の こと、神(かみ)さまは ふと 思(おも)いました。
こんなに たくさんの 鳥(とり)が いて、食(た)べ物(もの)が 足(た)りなく ならないかな?

3.

そこで、キジを 呼(よ)んで 言(い)いました。
「これこれ、キジや、ごらん。あそこに できた ばかりの 土地(とち)が ある。行(い)って 土(つち)が 乾(かわ)いたか、草(くさ)が 生(は)えたか、見(み)て おいで。そして すぐに 知(し)らせるのだよ」
「ケーン ケーン。はい、神(かみ)さま、行(い)って まいります」
キジは すぐに 出(で)かけて いきました。

4.

着(つ)いて みると、その 土地(とち)は いい 具合(ぐあい)に 固(かた)まって、草(くさ)が 青(あお)々(あお)と 生(は)えて います。そして、食(た)べ物(もの)が いっぱい!
「わぁ、すごい ごちそう!」
キジは 神(かみ)さまの 言(い)いつけも 忘(わす)れて、夢(む)中(ちゅう)に なって 食(た)べはじめました。
「むしゃむしゃ  もぐもぐ、むしゃむしゃ  もぐもぐ、 おいしいなぁ  おいしいなぁ・・・ むしゃむしゃ  もぐもぐ、むしゃむしゃ  もぐもぐ・・・ ふううう・・・ もう お腹(なか) いっぱい・・・ 眠(ねむ)く なって きたぞ・・・」

5.

キジは ぐぅぐぅ 寝(ね)て しまいました。
さて、神(かみ)さまは キジの 帰(かえ)りを 待(ま)って いましたが、いくら 待(ま)っても キジは 帰(かえ)って きません。

6.

困(こま)った 神(かみ)さまは、今(こん)度(ど)は ニワトリを 呼(よ)んで 言(い)いました。
「これこれ、ニワトリ、ごらん、あそこに できた ばかりの 土地(とち)が ある。行(い)って 土(つち)が 乾(かわ)いたか、草(くさ)が 生(は)えたか、見(み)て おいで。そして すぐに 知(し)らせるんだよ」
「コッコッコッコッコッコ ! はい、 神(かみ)さま、行(い)って まいります」
ニワトリは すぐに 出(で)かけて いきました。

7.

着(つ)いて みると、その 土地(とち)は いい 具合(ぐあい)に 固(かた)まって、草(くさ)が 青(あお)々(あお) と 生(は)えて います。
ニワトリは、さっそく 足(あし)を 片(かた)足(あし)ずつ 土(つち)の 中(なか)に さしこみました。
そうして、きちんと 土(つち)が 固(かた)まって いるか、調(しら)べはじめました。
「よしよし、ここは、固(かた)まった… よしよし、ここも、固(かた)まった…」
そして…

8.

ココ ケッコウー!

と 叫(さけ)びました。
ここ けっこう、ここ、結構(けっこう)・・・ つまり 神(かみ)さまに、「ここは 結構(けっこう)、大丈夫(だいじょうぶ)ですよ」と お知(し)らせ したんですね。

9.

その 知(し)らせを 聞(き)いた 神(かみ)さまは、すぐに 鳥(とり)たちを、その 土地(とち)へと 送(おく)り出(だ)しました。
ニワトリが 今(いま)も 土(つち)を そろりそろりと 踏(ふ)んでは、 「ココ ケッコー!」と 叫(さけ)ぶのは、その 時(とき)の ことを、思(おも)い出(だ)して いるんですって。

10.

おくづけ
日(に)本(ほん)の昔(むかし)話(ばなし)「キジ と ニワトリ」
中(なか)野(の)ミツさんの語(かた)りより
文(ぶん)・絵(え)・朗(ろう)読(どく):片(かた)桐(ぎり)早(さ)織(おり)
音楽(おんがく):秋(あき)山(やま)裕和(ひろかず)
制(せい)作(さく):多(た)言(げん)語(ご)絵(え)本(ほん)の会(かい)RAINBOW

11.

この作品は、販売、改作、改変できません。